東武鉄道 100系 “SPACIA スペーシア

 

長らく東武の看板列車であったデラックスロマンスカー1720系に替わって、1990年に登場したのが「スペーシア」。
「SPACIA」と綴る愛称は、「SPACE(宇宙)(空間)」に「-IA」をつけて固有名詞化させたもの。
インテリアデザインにホテルデザイナーを迎えた内装は、今でも当時の豪華さを保持しています。

2006年からはJR東日本と東武鉄道の相互乗り入れが始まり、JR新宿駅まで直通するようになった「スペーシア」。
デビューから16年目の今また、「スペーシア」が熱い注目を集めています。


−100系 SPACIA デザインコンセプト−
100系 SPACIA
トータルコンセプト : Fast & Pleasure −速く、そして快適に−
ベースカラー:ジャスミンホワイト
窓周り:オフ・ブラック
天幕・裾部ライン:パープルルビーレッド
窓下ライン:サニーコーラルオレンジ









普通車


さすがは1990年「バブル期」生まれの新型特急! JRなら堂々とグリーン席としそうな豪華な空間が広がっています。

座席はハイバックシートで、もちろんフリーストップリクライニング。シートピッチは1,100mmで超ワイドです。
個人的な感想ですがJR各社のグリーン車も含めて、「日本一」ランクの掛け心地ではないでしょうか?
座席自体のボディーホールディングが実によく、最大2時間の乗車ではもったいないくらい!!

異様に大きく見えるヘッドレスト。実はこれにはスピーカーが埋めこまれていました。
ヘッドホンなしでオーディオサービスが楽しめるもので、おそらくこのスペーシアでの採用が最初で最後ではないでしょうか?
現在はオーディオサービスの終了に伴い、オーディオパネル共々、スピーカーも全席から撤去されています。
デビュー直後の「スペーシア」に乗車ことがあるのですが、この埋め込みスピーカーの音質が大変クリアで驚きました。
ボリュームを最大にしても隣りの席には全く音漏れが無かったのを覚えています。

(シートバックのカバーが外された状態の写真を見たことがありますが、スピーカーは座席腰部に据えつけられていて、
そこから延びたアルミ製のパイプで音源をヘッドレスト部分へと導いている構造になっていたようです。
このスピーカー構造のために、座席背面内部の空間余裕が無く、背面折り畳み収納テーブルが装備できなかったとか。)



オーディオサービスは6チャンネルが設定されていました。
(1ch-ヒットナンバー・インスト 2ch-クラシック 3ch-ポピュラー 4ch-ジャズ 5ch-NHK AM 6ch-NHK FM)
オーディオパネルが設置されていた頃の座席はこちら。)


座席頭上にはFRP製の荷物棚。荷棚の下には各席個別の読書灯とスポット空調が設置されています。
東武の座席番号は「3桁」表示ですが、JR乗り入れ編成にはJRに合わせた「ABCD」配列の番号も振られています。









コンパートメント


「スペーシア」の一番のウリがこの浅草・新宿方先頭車にある「個室車」。
様々な設備の鉄道車両が登場していて、個室というのも珍しくは無い設備ですが、
実は、昼行特急で1両まるまる「個室」となっている車輌は、スペーシアのこの車輌が日本で唯一の存在です。

こちらは普通車よりもさらに「バブル期製造」のスピリットが炸裂しています。
とにかくありこちに「金色」のワンポイント。ドアの取っ手に、帽子掛けに、通路の手摺に、壁のトリムに…
極めつけは個室の真ん中の鎮座するテーブルで、素材は「天然大理石」! そしてここにもゴールドのトリム。

ソファーはひじ掛けを収納してしまえば大人3人はラクにかけられるほどの大きさで、かなりゆったりしています。
(ちなみに個室の最大定員は大人4名まで)
窓もかなり大きく、鉄道車両の「個室」というと閉鎖的なイメージがありますが、かなり開放感があります。
通路側のドアにも縦長の窓があり、こちら側の視界もけっこう開けています。

通路側の壁には空調や照明などの操作パネルが設置されています。
デビュー当時はビュッフェと直結したインターホーンがありましたが、現在は撤去されています。
空調の強弱や、照明の照度を自由に変えられる点は、さすが「豪華さ」をウリにした個室なだけはあります。

床面は一面の絨毯張り。この絨毯の毛がけっこう長めで、まさにホテルのお部屋のフワフワ感が足元に感じられます。
デビュー当時は、レースカーテン・厚手のカーテン・電動ブラインドと3種類も装備していました。
現在は手で引くプリーツカーテンだけが装着されています。

JR直通の「スペーシア日光・スペーシアきぬがわ」号で運転される時は、この個室は「グリーン個室」となります。
東武線内で完結する浅草発着の特急では、個室料金と各種割引料金と併用が可能なので、
個室体験には特急「スペーシアけごん・スペーシアきぬ」号のご利用をお薦めいたします。









ビュッフェ


スペーシアのビュッフェといえば、オーダーエントリーシステムを活かしたシートデリバリーが有名でしたが、
近年の鉄道界の供食設備縮小の動きは激しく、スペーシアでも1995年7月からシートデリバリーを止めてしまいました。

しかし、立派なビュッフェ設備を活かしたサービスは今でも健在。
始発駅発車直後に、ビュッフェスタッフが各座席にメニューを配ります。
そして、車内販売のワゴンや、乗客自身で3号車のビュッフェへ出向いて購入します。

メニューの品揃えも多彩で、暖かいメニューがこれだけ揃っているのは
おそらく日本では、このスペーシアが最後ではないでしょうか?

JR直通の「スペーシア日光・スペーシアきぬがわ」号と、浅草発着の一部のスペーシアではビュッフェの営業は休止。
その際、ビュッフェスペースはクローズされてます。





3号車には「ビュッフェ」に隣接して、「サービスコーナー」「電話室」「自動販売機」が設置されています。

東武特急では「デラックスロマンスカー」の時代から、車掌とは別に「スチュワーデス」が乗務していました。
「スペーシア」でもこのサービスコーナーで、日光/鬼怒川の観光案内から現地のタクシーの手配などを行う傍ら、
堪能な英語を使いこなして、「NIKKO」へと向かう外国人乗客への対応をしていました。
残念なことに「スチュワーデス」の乗車は、2003年3月の改正で終了となってしまい、
しっかりした設備の「サービスコーナー」も、今はカウンター内はカラッポで、勿体無いような感じです。









洗面台・トイレ


サニタリーコーナーは1号車・4号車・6号車の3ヶ所で、いずれも和式・洋式・洗面台から構成されています。
当時の新型特急は「洋式個室」で統一し、「和式個室」を最初から設置しない列車が多かったので、
今見るとこの時代の「新型特急の和式個室」というのは、妙に珍しさと新鮮さがあります。
洗面室には、珍しく縦長のドレッサー用のカガミがあり、 身だしなみに気を遣う女性には嬉しい設備。









デッキ設備


「スペーシア」のデッキは、プラグドア共々かなりワイドです。大きめの旅行カバンを抱えての乗車もラクラク。
しかもデッキ部にまで絨毯が敷かれていて、「特別急行」らしいステータス感に溢れています。

1号車と6号車のデッキには「ブルーリボン賞」の受賞プレートが掲げられています。
現在、リニューアル・リファインなどが行われるとこのプレートを撤去してしまう列車が多いのですが、
この「スペーシア」では、なんと全編成の1号車と6号車のデッキにこのプレートが健在。

当時の東武はこの「スペーシア」に賭ける意気込みが物凄く、TVCMからキャンギャルの公募、試乗会の多数回開催、
そして鉄道ファン向けイベントでは「ブルーリボン賞投票に1票を!」と、臆することなく呼びかけていました。

対抗馬は「スーパービュー踊り子」「さくらライナー」「タンゴエクスプローラー」「ニュースカイライナー」など、
今見ても華々しい車種でのラインナップで、当時の新型列車デビューが大ブームだったことがうかがえるようです。
投票数ではトップの「ビュー踊り子」に7票差で「スペーシア」は2位だったのですが、積極的な広報活動が功を奏したのか、
票差が少ないということで逆転トップを獲得し、「ブルーリボン賞」を獲得したという逸話が残されています。







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