61  牧草まき

 そろそろ根雪になってきたので、放牧地に草がなくなってきました。  馬入れが終わったあとに、トラクターで放牧地に牧草をまきに行きます。 
牧草は1番牧草、2番牧草とあって、まくのは2番牧草です。 一番牧草はその名の通り、最初に刈った牧草をいいます。 長くてかたいです。 2番牧草は1番を刈ったあとに生えてくる草を刈ったものです。 短くてやわらかいんですよ。 放牧地にまくのは2番牧草です。 
 牧草ロールをトラクターで放牧地まで持っていって、転がして何箇所かにわけます。 1箇所だったり少なくまくと、強い馬ばかりでよわい馬が食べられなくなるからです。  寒い中まいてるんだから、たくさん食べておくれよー!!





62  1月 2日 へんなかんじ

 馬は1歳年が若くなりました。
今までは生まれた年が「当歳」、次の年が2歳、3歳・・・とつづいていたのですが、今度からは0歳(当歳でもいいのかな?)、1歳、2歳・・・になります。 分かりにくいかな。 2年目が2歳と呼んでいたのが、1歳と呼ぶわけです。 人間と同じです。 
レースも名前が変わるようで、3歳〜ステークスが、2歳〜・・になるみたい。 2歳新馬戦。  変な感じ。
うちの馬も2歳とは呼べないんだ。 1歳・・・変な感じ。
慣れるまで結構時間かかるなぁ。





63  お別れ

 下の放牧地のちびたちも、お別れの時がやってきました。  おとこ馬とおんな馬、分けなくてはいけません。 こっちの仲良しさんはかわいそうにおんなの子とおとこの子だったので、お別れです。 おんな馬はそのままで、おとこ馬2頭を上の放牧地のおとこ馬と一緒にします。 上に連れて行かれるときは、何が起こっているのか分からずにびっくりして引かれていました。 
 そして、上の子達とご対面です。

 みんな 「なんだなんだ」 と好奇心で2頭に群がります。 2頭は 「やだー!!!」 と逃げ回り、そのあとをみんなが追いかけます。 すごい光景です・・・。
 したのちびのうちの1頭はとても強い子で、最初から上に放牧されていたらまちがいなく強いグループに入っていたと思います。 いくら強くても多勢に無勢、かなうわけありません。 1日中、いなないていました。
もう1頭は当りさわりのない性格なので、そのうちみんなと仲良くやれると思います。 この子は大丈夫。
しばらく放牧地は、大さわぎだ・・・。





64  お産

 はや生まれの馬を、お産馬房に入れました。
キルクとオパールです。 馬入れの時に下の放牧地から真ん中の厩舎へ連れてきました。 仲良しのコクトは 「どこ行くのー??」 とちょっとおどろいて2人(2頭)を見送っていました。 オパールはベテランなので、お産馬房の意味も分かっています。 キルクは今年初めてうちに来たので、厩舎がかわってどきどきしていました。 キルクがさびしがらないように、馬房を向かい合わせにします。 キルクはオパが見えなくなるたびに鳴くので、オパは 「しょがないわね」 と顔を見せていました。 
大変だね、オパール・・・。

 そして、ここの厩舎の馬入れをはじめました。
この2頭はものすごく(馬には)こわいのです。
向かい合わせで入れたもんだから、大変です。
2頭は顔を突き出して、厩舎に入ってくる馬を威嚇していました。 白目をむいて、 「きぃ〜!!」 とおどかして、襲いかかるマネをして、こっちもこわくなってしまいます。 もう、この厩舎の主です。
この2頭の間を通って行かなくちゃいけないので、 
門番 と誰かが言っていました。 ほんと、門番みたい。
あしたはどこに放牧するのかな。





65  よかった

 明日です。 2頭はいつもの放牧地に放牧されました。 最初に話されていた仲良しのコクトは2頭がいないので、入り口でずっと待っていました。 オパール達はちがう入り口から放牧されたのですが、2頭を見つけたコクトはおおよろこびで小走りにやってきました。 それを見ていたペックはちがう所から放牧されたもんだから、新人とかんちがいしてえらそうにやってきました。 おこられるぞー・・・。 オパール達に近づく前に、 「ガァー!!」 とコクトにやられていました。 
そしてペックは逃げていきました。 
とりあえず、また3頭一緒です。 よかった(?)





66  見つけたのね

 男のちび達の馬入れをしている時に、下の放牧地から移ってきた2頭のちびちゃんが、突然走り出しました。
「どこへ行くんだ?」 とあとを追いかけたところ、なんと・・・。  とおくの放牧地に見える、お友達を発見していました。 離れているから分からないと思っていたのに。 お互いに分かっているようで、鳴きあっていました。 会いたいみたい。 でもおとこの子とおんなの子。 もう会えないと言っても分かってくれないんだろうね。
ちょっぴり切なくなってしまった。





67  こっちも・・・

 せっかく一緒になれたオパール軍団、やっぱりお産が近い2頭はちがう放牧地へ放されました。
いつでも様子が分かるように、厩舎からよく見えるところに放牧です。 キルクはオパールと一緒なので気にしていませんでしたが、残されたコクトはさびしがって鳴いていました。 鳴き声でだいたいわかるのでしょう。 
オパールも声が聞こえるほうへ向かって、ずっと鳴いていました。 親同士でここまで仲がいいと、かえってこわいです・・・。 でも仔馬が産まれたら、今まで通りにはいきません。 子供を守る戦い(?)がはじまるのです。 やっぱり子供が大切。 だもんね。





68  1月 11日  ずるいー!

 午後から大雪で馬入れは大変でした。
パウダースノーなので、きれいでいいのですが仕事ではそんなこと言っていられません。 粉雪なので地吹雪が起きて、ひどい時には周りがほとんど見えません。 見えないので馬に声をかけながら呼びに行きます。
人が見えない→でも声が聞こえる→家に帰れるんだ!
うれしさと寒さと興奮で、暴れまくっています。 吹雪いているので、どこから馬が飛んでくるか見えません。 
冷静さが無くなっているのであぶないです。
とにかく馬房に入れたもの勝ちです。

ちび達はこわくて、「きゃー!!!!」と言いながら(?)走ってきます。 「帰りたいの!」 ちびはすなおです。 引かれるときも怖いので、言いなりです。 
いつもの暴れっぷりはどうしたのかな(笑) 
そして、吹雪なので目をつむって歩いているのです。 「見えなくても引っぱってくれるもんねー」 とでも思っているのでしょうか。 ずるい。 私もそうしたい。





69  お薬

 ブルーお母さんは目をケガしたので、毎日目薬と飲み薬をあげています。 これがまた大変・・・。
まずは飲み薬です。 投薬器(とうやくき)というものであげるのですが、ブルーは口をへの字に曲げて 「口に入れられるもんなら、入れてみな」 と顔を上げてわがまま言います。 なんとかだましだまし口に入れて、お薬を流し込みます。 ここで安心してはいけません。
ブルーったら、飲むふりをして口の中に入れているのです。 この間は 「飲んだね」 と安心していたら ダァー っとお薬を吐きました。 飲んでいない場合は、よく見ると頬袋(馬は無いのですがそこらへんが膨らんでいるので・・・)が膨らんでいます。 
「こらっ、飲みなさい!!」 いやいやしているけど無理やり飲ませました。 これを飲まないと元気にならないからね。 そして明日も格闘は続きます。





70  目薬!

 ブルーバトルは続きます。 次は目薬です。 これがまた頑固のブルーちゃん、根気負けしそうなのです。 普段、目薬ってどうやってさしますか? 上を向いて、 ポトッ と落としますよね。 馬もそう出来たらいいんだけど、馬は目が横についています。 上を向かせてさすことは、むづかしいのです。 もう一人に馬を保定(ほていと言って、治療しやすいように押さえること)してもらいます。 そして指で目を開けて、目薬の先で眼球を傷つけないようにさします。  さした終わったら目をつむったままなので、手でぱちぱちやってあげます。 
 一緒にお薬をやっている人がいつまでもしているので、 「いつまでやってるの?」 と聞いたら 「こいつすごいよ」 と。 「かして!」 と私の番。 
なにがすごいのかな。 うーん。 なるほど・・・。
 ブルーちゃん、意地でも目を開けないのです。 普通の馬なら、わりと簡単に開くのに、どんなに頑張っても目を開けてくれません。 
「すごい目力(めじから)。」  「だろー! 目力!!」 
そんなに目薬、いやなのかぁ。 でも負けないぞ。
ブルーバトル、最後は私達が勝ちました!





71  成長

 今は親馬担当なので、ちび担当の人がお休みの時だけちびの手入れをします。 久しぶりに手入れをしたのですがあまりの成長ぶりにびっくりです。 体だけじゃなくて、心も成長していました。 あのやんちゃぶりがほとんどないのです。 手入れされることを理解したのでしょう、前はいやがっていたところも我慢したりいやがっていなかったり。 競走馬になるには鞍やハミをつけなくてはいけません。 ハミをつけるときに皮をかける耳の後や、鞍をつけるときに腹帯(はらおび)を通すお腹の部分など馬はとてもいやがります。 だから当歳の時にきちんと触ってあげていれば、育成に行った時に馴致が楽なのです。 耳の後もお腹も部分もオッケー! 大人になったじゃない!! 感動(?)です。
 でも何をするにも興味しんしんがなくなっちゃったのは残念かな。





72  ついに

 馬入れの時に 「るりこ、こいつより背がちいさいのか?!」 と言われました。 手入れの時は気がつかなかったのですが、どうやら一番ちびのうまにも背を抜かれたようです。 この仔にはまだ抜かれると思っていなかったからショックでした。 そういえば手入れの時にあごを私のあたまに乗せたいたような気がしました。
永遠のちびでいてほしかった。





73  1月 16日 どれもおいしそう!?

 今日は午後からうっすらと雪が降りました。
馬達にも粉雪がかかっていました。 馬入れの時 「シュークリームだ!」 と言いながら入れていました。 
黒鹿毛の馬はビターチョコ、芦毛はホワイト、などなど自分達もお腹がすいているので本当においしそうに見えました。 馬達はそんな目で見られてるなんて知らないんだろうなぁ。 食べないから安心してね。





74  まねっこ

 馬入れの時にひづめの裏に雪が溜まり、さらに雪がくっついて歩きにくくなるときがあります。 それは人も同じで厩舎に入った時に足をばんばんしながら歩きます。 そうすると雪がとれるのです。 
 そのときなぜか馬も真似をするの! 
一緒に4本の脚をばんばんやるから笑えます。 どぉ? ひづめの雪はとれた??





75  ミレニアムベイビー!!

 夜飼いのときにお産馬房にいる馬の様子を見るのですが、キルクの様子がなんだか変。 うろうろしてみたり落ち付かないようです。 「そろそろかぁ」 と思いながら仕事をしていました。 時間が経つにつれて前がきをしておなかをしきりに見ています。 そして体から湯気がのぼってきました。 陣痛です。 
仕事をおえて、みんなでキルクの馬房に集まりました。 
なぜか向かいの馬房のオパールが大さわぎをしています。 お産だということが分かるのでしょう。 
 寝たり起きたりをくり返す事30分、おしりからちいさな脚が見えてきました。 
決心したようで、 「ブーッ!!」 と言いながら横になりふんばります。 このお母ちゃん、超安産で ツルッ とちびちゃんが出てきました! はじめまして!
 「産まれたぞ!」 ちびの鼻を上からスーっと手でしぼります。 鼻の中に入っている羊水をとって、呼吸が出来るようにします。 何度も水が出てこなくなるまでやります。 キルクはお母さん顔になってる。 いっつもオパールを追いかけてた甘えん坊じゃないです。 
 破水の時に人や寝藁に羊水がかかってしまったのですが、お母さんは人であろうと草であろうとしきりになめています。 よっぽどうれしいんだね。
 ・・・その頃オパールは 「よこせー!!」 と狂っています。 じぶんの仔じゃないんだよ。 おちついて。

 へその緒も取れて、乳を付けて上がりました。
簡単に乳を飲んでくれたので楽でした。
さっそくひざまくらやっちゃいました♪ ・・というか、
ふにゃふにゃしてるので起こしてもぺたんと倒れてしまうのです。 強制ひざまくらですね・・・。

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