











46 覚えてる!
朝、エサをやりに馬房に行ったら、入り口に入っているはずの馬がいません!
どうやってはずしたのか、ません棒が外れていました。
いつ逃げたのか、どこに行ったのか・・・。
「おかあちゃんが逃げた」 と言いに行って探しに行こうとしたとき 「あそこ・・・。」 言われた方を見てみると、いつも放牧されている放牧地で草をたべていました。 ほっ。 厩舎から少し離れている所にある放牧地で、近くに別の放牧地があるのに、間違わずよくそこに行きました。
ただなんとなく引かれて歩いているんじゃなくて、きちんと自分の行くところを覚えているんですね。
昔、放牧地から逃げ出した馬も、自分の馬房に帰っていったはなしを聞いていたので、かしこいんだなぁとあらためて思いました。
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47 きような鼻・・・
ません棒をはずすといえば、昔とても鼻の器用な馬がいました。 ふだん見ているかぎりでは、ふつうの馬と同じです。 まだ私が勤めたばかりの頃で、その馬(スノンといいます)の器用さを知りませんでした。
朝厩舎に行くとスノンが廊下にたたずんでいて、よくビックリさせられました。
さわるとすぐ外れるません棒ではないので、どうやってはずすんだろう? といつも不思議だったけど仕事仲間は 「そのうち分かるよ」 と笑うだけでした。
そして何日か過ぎたとき、 「ほら、あれだよ」 そう言われて見に行ったら・・・。
言葉でうまく説明できないんだけど、鼻を人間の手のようにもそもそとうまく使ってカギをはずし、はずれたところを ほれっ と鼻でません棒を押してはずしていました。 「すごーい!」 なんて馬なんだ。
この調子で全部のません棒をはずしているのでしょう。
馬の鼻はあなどれない と思いました。
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48 チェック!
中には手入れが好きじゃない馬もいます。
その中の1頭、コクトはからだを触られるのがとてもきらいです。 首をさわると、ぶんぶん頭を振って白目を向いてこっちをにらんでいます。 おなかはもっといやなようで、おなかにブラシを当てると、ぐぃーっとくびを曲げてブラシに鼻を当て、ブラシの動く方に一緒に顔を動かします。 こわいかおでチェックをしています。
そしてブラシがへた(?)だったり、気に入らないところにあたると、シャクッと噛もうとします。
・・・でも噛むとおこられるので、噛むふりだけなの。
口をへの字にまげて、あきらかに不満げな顔をして終わるのをじっとまっています。
「コクトー、お母さんなんだからがまんしないとね。」 と顔を手入れしておしまいです。
そして、引き手をはなすと・・・・。 今までがまんしていたんでしょうね。 やり場のないいかりを、体で表現していました。 これが毎日のコクトとの手入れです。
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49 あっちもこっちも
一仕事をおえてなにげなく放牧地を見たら、きつねが歩いていました。 1頭で放牧されているところに入り込んでうろうろしています。 すぐにその子はきつねに気が付いて、ぴょこぴょこときつねにくっついていました。
きつねはそれを知っているのか、放牧地から出ようとしないで遊んでいます。 きのうも来ていたので、 「遊ばれてるなー(笑)」 と思いながら見ていました。
そこに牧場の人が来たので 「見て見て!!」 と言ったら、 「ばかっあっちを見てみろ!」 と返されました。
反対の放牧地を見てみたら、道路を越えてシカ軍団がやってきていました。 「まさか・・・」
案の定、牧柵をハードルのように飛び越えて、ちびたちの放牧地へ入っていきました。
シカを見てびっくりしてケガをすることもあるので、あわてて見に行きました。 シカ軍団は、さらに牧柵を飛び越えてとなりの牧場の放牧地へ行ってしまいました。
うちのちびたちは大丈夫だったけど、お隣さんがちょっと心配。 何もなければいいな。
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50 シカといえば
シカの話しをもう1つ。
ある牧場で研修をしていた時のことです。
その牧場では馬を放牧するために、研修生がパドック(馬を1頭1頭放牧するための小さな所。サンシャインパドックとも言われていて、太陽しかない、まさにサンシャインパドック?!)の扉を開けに行きます。
ゆるい下り坂を少し下りると、パドックがあります。
私はいつものようにパドックへ、走って行きました。
左手は壁なのですが、途中でなくなって、小さな草原
(くさはら)が広がります。
壁の切れ目までダッシュして、くさはらが目に入ったとき・・。 「!!!」 まん前にシカ軍団です。 さわれるかさわれないかくらい近かった(・・・と思った)!
お互いに飛び上がって、びっくりしました。
シカ軍団は真っ白なおしりをぴょんぴょんさせながら、すごい勢いで去っていきました。 固まっちゃった。
シカってとってもおおきいんだ!!
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51 もう1つ・・。
きつね、シカとくれば、クマですね。(?)
研修中に馬乗りから帰ってきた人たちが、 「坂路(はんろ)の横にクマが出た!」 とさわいでいました。
なんでも親子連れだということ。
野生のクマが出るなんて、テレビのニュースの中の出来事だと思っていたので、どきどきしました。
「走るとクマより馬のほうが早いから、何とかなる」
「死んでも馬から落ちるな」 とお互いに笑いながら言い合っていました(余裕あるなぁ)。 そのあと何日かクマは坂路に出没したけど、馬も人も大丈夫でした。
日高は山続きなので、動物が移動しやすいと聞きました。 あの親子グマはどこへ行ったのかな。
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52 リボン
スルガお母ちゃんは馬入れのとき、かならず一番に入ります。 別に強いわけでもないのに、なぜか入り口に立って待っています。 要領がいいんだろうなぁ。
離乳して以来、2ヶ月ちょっとずっと一番です。
「いつも1着だから、リボンあげたいよな」 と誰かが言っていました。 乗馬の大会などでいい成績をとると、きれいなリボンがもらえます。
「今日もリボンだー!!」 と最近の馬入れはスルガの話題でもちきりです。 もらったら馬房の入り口は、リボンでいっぱいだね、スルガ♪
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53 12月 21日 うまもひとも
今年はじめての強風でした。 あまりに強いので、帽子も耳当ても飛んでいきます。 馬入れのとき、ちびたちも引かれながら飛んで行っていました。 午前中暖かかったので、下はこおっていなかったのが幸いです。 こおっていたら、きっと転んでた。
これから風が雪とまざって地吹雪になり、一番きびしい季節になります。 下はこおるし、前は見えないし、踏んだり蹴ったりなんだなぁ。 がんばろう。
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54 リーダー
ちび達のお守り役のお母さんを、離す日がやってきました。 ちびだけを最初に放牧して、しばらく様子をみます。 今までお母さんのあとについていってたので、リーダーがいなくなった放牧地では大さわぎです。 どこへ行っていいのか、何をしていいのか。 いつもどうりでいいのにね。 やっぱり群れにはリーダーが必要なようです。 何がなんだか、みんなでむちゃくちゃに走り回っています。 走るというか前脚と後脚がばらばらに走っているので、だだをこねてるみたい。
何日かたつと、あたらしいリーダーが決まります。
ちびたちは、これでちょっと成長しました。
お守りかあさんは、親の放牧地に放されました。
この親もここの放牧地では、ちょっと新入りあつかいなので、みんなにあいさつから始まって、順位が決まります。 仲良くやっていける性格なので、大丈夫でしょ。
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55 おちついて。
種馬、「じじ」は来年で26歳です。 よぼよぼのおじいちゃん。 でもお母さんを見ると 「俺の出番かー!!」 とはしゃぎます。 歳のわりにはとても子供っぽいのです。 性格なのでしょう。 馬入れのときに、じじは道路をわたって厩舎にかえります。 今の道路は、こおっていてつるつるです。 ほかの馬はおそるおそる歩くのですが、このじじは早くわたり終えたいようで、急いでわたります。 まず、道路をわたる前に路面をよく見て確認します。 そして一息ついて・・・。
“どぉーっ!!!” とわたります。 この光景がなんとも・・。 前脚をピーンと棒のように伸ばして、歯を食いしばって、肩だけでカチャカチャ歩きます。 肩から下は関節がないみたい。 目線はゴールにクギ付けです。 すべりながらも、ゴールに着くことだけを考えて一生懸命です。 あんなに脚を伸ばしたら余計にすべるし、あせるともっとすべる事をじじは分かっていません。
もっとおちついて渡ったらいいのにね。
そして笑っちゃうのが(ごめん、じじ)、路面がこおっていないとき。 「前の日までこおっていたから、今日も!」 と思うのでしょう。 路面を確認しているのに、歯を食いしばってかちゃかちゃ・・・。
「だいじょうぶだよ、へいきだよ」 と教えてあげて 「ハッ」 と我に返り、何事もなかったように歩き出します。
もーかわいいってば。
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56 見てしまった
馬入れのときにちびをつかまえようと、引き手を馬のあごにかけようとしたとき、ぷぅー とちびの鼻からはなちょうちんが・・。 息をするたびに ぷぅー と出るはなちょうちん。 おもわず笑ってしまいました。 結局、馬房に入るまでやってた。 馬房に入ったら、ちゃんとお鼻を拭いてあげました。 かぜひかないでね。
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57 そろそろ
おとこの子のちびが蹴られて帰ってきました。
おもいっきりではないので大丈夫だったけど、誰がやったのかという話になりました。
「こいつ、女ばっかり追いかけてるから、おんな馬に蹴られたんじゃないかな」 そうか、もうすぐ2歳になることだし、おとことおんなを離さないといけないんだ。
いつまでも仲良しでいられないのはかなしいけど、しかたないです。 あと少しの間、なかよしでね。
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58 飛んだ!
すごく風の強い日は、いろんなものが飛びます。
今回はひさしぶりに、厩舎の屋根が飛びました。
トタンの屋根なので、案外もろいようです。 数年前は、はがれたトタンが風で飛んで空に舞っていました。
「当たったら大ケガをする!」 と馬出しは中止。
急きょ、厩舎の中に非難して、宙に舞っているトタンをこわごわ見ていました。 こんなに強い風を体験したのは、このときが生まれて初めてでした・・・。
風が止んだら放牧地の屋根拾いをしました。
ずいぶん遠くまで飛んでいました。
風の強い日は、ついこの日のことを思い出して怖くなります。 あんな事は、めったにないんだろうなぁ・・・。
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59 なるほどー
今日は、私が親馬の放牧地のません棒を、開けてきました。 親馬ははやく帰りたいので、放牧しても入り口に戻ってきます。 1日中入り口でぼーっとされても困るので、帰ってこれないように奥の放牧地の入り口を、ません棒で閉めます。 気になるのが、いつも1着のスルガちゃん。 「スルガはどの位置にいるのかな」 と思いながら行ってみると、つよい馬が先頭を陣取っていて、スルガは真ん中にいました。
そしてません棒を開けると、みんないそいそと歩き出しました。 スルガちゃん、怒られるので初めはみんなとゆっくり歩いているのですが、ちょっと隙間があくとひょいっと、そしてまた隙間を見つけてはひょいっと・・・。
あっという間に先頭に立ち、だーっ!!と走り出しました。 あまりの手際のよさに 「なるほどー」 と関心してしまいました。 すごいなぁスルガ。
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60 異性
ちび達を、おとこ馬とおんな馬に分けました。
おとこの子は今までの放牧地に、おんなの子は隣の放牧地に放しました。 案の定、みんなパニックです。 「キィー!!っ」と走り回って、おんなの子はみんなで入り口にドカーン・・・。 突っ込んできました。
突っ込んでも大丈夫なように、人が入り口でちび達の暴走を止めます。 今回は体を張ってちび軍団を受け止めていました。 ・・・すごい。
やはり人がいると落ち着くようで、鼻をブーブー言わせながら入り口に群がっていました。
仲良し組みは今回はおんなの子同士、おとこの子同士だったので、別れずにすみました。 ブレーヴくんはバードにぴったりくっついて離れませんでした(ちなみにおとこの子です)。 おんなの子仲良し組みも、2人でぴったりくっついていました(あとは下の放牧地のちび達だけです。 分けるのは年明けかな)。 これからは、自分の身は自分で守らなくてはいけません。 こうなるとだんだん性格もハッキリしてきます。 もうちびじゃないです。 りっぱなお馬さん。 そしてあと4日で2歳です。
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